BAMBOO/村岡実

バンブー

ちょっと趣を変えて和モノなど。もっともこのアルバムも3曲目「陰と陽」というキラーチューンのおかげでRare Grooveの文脈で語られる一枚。リーダーの村岡実は尺八奏者なので、勿論、民謡や演歌での仕事の方が多いのだけれど、琴や琵琶、和太鼓などで編成される、ニュー・ディメンション・グループを率いてジャズ寄りのアルバムも何枚か出している。和楽器でジャズというと能管奏者の一噌幸弘なんかが思い起こされるのだけれど、このアルバムの録音が1970年というから、そういったものの先駆者的な立場にあったという事になるのだろうか。先程の「陰と陽」が途中、必殺のドラムブレイクを含めてかなりヤバいのは勿論だが、それ以外の曲も和楽器とジャズの折衷が醸しだす面妖な雰囲気がなんともイカす。2曲目「最上川船唄」の和の曲の持つ摩訶不思議な響き、4曲目ビートルズのカバー「And I Love Her」などは最早全然別物の呪術的な何かにすら聴こえるし、6曲目オルガンをフィーチャーした「Soul Bamboo」もデローンとしていてかなり深い。ジャパニーズ・スピリチュアル・ジャズと欧米に胸を張れる一枚だと思う。サックスの持ち替えでテナーからソプラノと曲によって使い分けるミュージシャンは良く見かけるが、テナーから尺八の持ち替えとかがもしもあったら、それはそれでシビレるんじゃないだろうか、などという妄想をした。