TENORMAN/Lawewnce Marable

テナーマン

ドラマーにも色んなタイプがいて、リーダーを名乗って全面的にドンドコやるようなArt Blakeyのような人や、どこのバンドに行っても絶対にその存在が分かってしまう個性的なドラムを叩くBarnerd Pardieのような人が居る一方で、地味に地味にサイドマンに徹する人も居たりする。このLawrence Marableは後者のタイプで、自身のリーダーアルバムだというのに、ジャケットにはテナーのJames Clayを前面に押し出し、本人は後ろでピンボケでチンマリと映っている程度だし、そもそもアルバムタイトルは「TENORMAN」だしで、こりゃ相当地味な良い人なんじゃないだろうかと思わせる。何だか好感が持てますね。ちなみに前面に押し出されたJames Clayはこの時若干20歳。その後あまりリーダー作には恵まれず、「幻の」なんて冠が頭に付くテナー奏者。結果的にかなり地味なアルバムと言うことになってしまうのだが、内容はどうしてどうして。オーソドックスな泥臭いバップスタイルのジャズを揃えた良作である。何せ非常に明朗なカンジがして聴いていて疲れないのがいい。1曲目「The Devil And The Deep Blue Sea」邦題は「絶体絶命」というのだが、これが全然絶対絶命な緊張感などなくて、「た〜いへ〜んだ〜」みたいな大らかなノリでいきなり笑ってしまう。しかしJames Clayのこの吹きっぷりを聴いていると「幻」にしておくのは偲びないなあ。