Dernier Message De Lester Young/Lester Young

Le Dernier Message

Dexter Gordon主演の映画「ラウンドミッドナイト」の主人公デイル・ターナーは、アメリカで落ちぶれてフランスはパリで再起を目指すテナーマン。ただ重度のアルコール依存症で全盛期の輝きがなかなか取り戻せない。そんな役柄だった。コレ、確かLester Youngがモデルだった筈。僕はジャズなんか大嫌いだとか常日頃口にはするのだけれど、Charlie Parker登場以前、すなわちビ・バップ革命以前のスウィング系のミュージシャンは大好きだったりする。その中でもとりわけこのLester Youngが大好きで、この人の物悲しげな雰囲気というのは、そのあまり恵まれなかった生涯を投影してるようにも思えて。ま、関係ないんですけどね、音楽に人生なんて。低能文系のたわごとでしかないんだけれど、それでもやっぱり何だかね。尤もスィング全盛時代というと1920年代から30年代で、Lester YoungだとCount Basieのオーケストラ所属時代ということになるのだけれど、録音物として残っているものは物凄く音が悪くて、その録音からでは巨匠の凄みというのが中々掴みにくい。だからつい聴き易いクリアな録音の50年代後半、彼らスウィング系ミュージシャンにとってはキャリア晩年の録音を聴いてしまうから、余計物悲しくもなるというものなのかもしれない。ちなみにこのアルバム、Lester Youngのパリでの遺作となるもので、勿論世間の評判はそれほど高いものではないのだけれど、僕の唯一好きな、と言っても過言ではないジャズ・スタンダード曲「There Will Never Be Another You」はどこまでも物静かに穏やかで。拝啓Lester Young、貴方の音は何時も優しい。