今夜、全てのバーで

中島らもが複雑に好きだった話はその内書く。今日も今日とて自主トレーニングで吉祥寺までチャリを飛ばしてきたのだが、本日は「FUNKY」というちょっとオサレなバーで軽めの夕食を頂いた。何だかもう何から何までリア充の雰囲気が漂う、僕の様な中途半端な人間にはそれ程居心地が良い店でもない筈だったのだが、この店は元々、吉祥寺では有名な同名の老舗ジャズ喫茶が母体だった。その名残か、JBLの名スピーカー「「パラゴン」が鎮座ましましている。「鎮座まします」ってなんだか語呂が良くて良いな。「ちーんざまーしまーす!」まあ勢いだけか。話がそれた。このパラゴンが兎に角糞でかいスピーカーなのだけれど、これを1950年代当時のアメリカでは家庭用として販売した経緯があり、全くアメ公のスケールのデカさにはいつだってクラクラとくる。そら島国日本、戦争勝てんわな。でまあコイツが非常にご機嫌に鳴らされていて、こういうリア充臭の強いバーには似つかわしくない位の結構な音量で店内にジャズが流れていた。それはそれで何となくイイじゃないの、などと思いながらうっとりパラゴンを眺めていたのだが、バーテンさんも僕がメシもそっちのけで気持ちの悪い目線でパラゴンばかり見ているものだから、帰り際に「スピーカーが気になりますか?」などと話しかけてくれてしばしオーディオ談義に。「リクエストも受け付けますよ。」なんて言ってくれたりして、おいおいイカした格好のバーテンさんよ。ジャズ喫茶魂も忘れていないじゃない。なんだ結構泥臭いとこもあって良いお店じゃないか、と。その昔はきっと進歩的な貧乏学生(?)が、コーヒー1杯でねばった挙句、分かったようなツラでジャズのリクエストしてたんだろうなあ、なんて思いを馳せながらパラゴンを眺めるのも悪くない。ちょっとお値段は張るけれど又足を運んでみよう。そして次に行ったらコテコテのフリージャズをリクエストして、リア充カップルの度肝を抜いてやりたいと思っている。うん、まあ流石に受け付けてくれないわな。